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博多駅移転から60年、静かに迎えた「還暦」 田畑や湿地が大変身、九州の不動の玄関口に

 JR博多駅は1日、福岡市博多区の現在地に移転し60年の節目を迎えた。当時一帯はカエルも暮らす広大な田畑と湿地。約600メートル先からの新築移転は九州随一のビジネス拠点を生み、この10年ほどで大型商業施設の進出も相次ぐ。移転50年の際にはセレモニーやイベントがにぎにぎしく行われたが、今年は「特に予定はない」(JR九州)という。代わって西日本新聞meが“還暦”のお祝いを込めて九州の玄関口の変遷をたどる。

◆大博通りにあった旧駅

 あまりにも堂々としたたたずまいに、「ずっとそこにある」かのような博多駅。60年前はどこにあったのか。文化や産業に関する資料を集めて意義付けしながら活用する「アーキビスト」の益田啓一郎さん(56)=福岡市=と、市地下鉄祇園駅付近で待ち合わせた。

 益田さんは、大博通りの東側の歩道を博多駅方面に向かい始めてすぐ、「博多大博通ビル」の前で立ち止まった。「ここが2代目駅舎の入り口辺りでしょうか」

「この辺りが2代目駅舎の入り口でした」と話す益田さん=11月29日午後、福岡市博多区

 大博通りのど真ん中に構えていた旧駅舎は1909(明治42)年に完成。ルネサンス様式のれんが造りで、柱の一本一本に彫刻が施されていた。豪華壮麗なたたずまいは「西国一」と称された。

 駅前には旅館や土産物店が立ち並び、1954(昭和29)年にはランドマークとなる「ナショナル・ビル」ができた。「ネオンサインがありましてな。日通の小荷物預かり所から荷馬車がよう出よったですよ」。近くで明治期に創業したクリーニング店の3代目、増田哲夫さん(78)は懐かしむ。寝台列車用シーツの洗濯も手がけていたという。

2代目駅舎(1960年8月)※本紙データベースから

 駅の南側(裏口)は、打って変わって農地だった。益田さんが「古くからあった博多の街よりも駅は後発。ここはかつて『町の南の端』でした」と教えてくれた。

 初代駅舎はそのすぐ東側、現在の出来町公園の場所で1889(明治22)年12月11日に九州初の鉄道駅として誕生した。「博多駅85年史」に残る1日当たりの乗車数は...

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